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今までの決めつけにとらわれず、アンコンシャス・バイアスに気づき、
性別に関わらず活躍するための事例を紹介します。
職域篇(50音順)
【AWS株式会社】
「IT=理系の男性」という先入観を疑う。
男女の区別ではなく、その方の個性を重視。
1985年に設立。
101名の社員とともに、IT企業としてデジタル技術で、これからの社会や経済の変革を支え、さらに進化させていくことをミッションに掲げる。社員の個性や価値観を、新しいサービスの価値創造へとつなげて、いま注目を集める。
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インタビュアー
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中田さん
じつは当社では女性管理職も多く、もともと男女や文系、理系関係なく、何よりその方の個性や資質を重視して採用したり評価しているんですよ。また、仕事をする上で、社員のライフイベントに合わせた自由な時間をつくることができる制度も整えてきました。
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坂田さん
例えば、フレックスタイムで出勤時間を遅くしたり、早めに仕事を切り上げてイベントに出かけてもいいですし。業務をきちんとこなして責任を果たしていれば、性別を問わず自由度が高い職場なんです。
新しい評価制度や働く時間についての施策などは、経営者同士が思い込みがないようにつねに話し合い、社員にもいろいろと意見を聞きながら進めています。 -
インタビュアー
文系、理系で分けた採用や人員配置ではないんですね。
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坂田さん
もちろんです。
IT業界で働いてみると文系、理系はあまり関係なく、人としての柔軟性やコミュニケーション力が重要で、じつは文系の人の方が活躍できる要素が多いんです。
私は文系出身で、就活していた当時、IT企業は理系でないと難しいと言われたことも結構ありました。でも、入社後は第一線の技術者になり、社内のマネージャーたちもほぼ文系です。海外出張でさまざまな現地企業を見てきた経験などからも、男女や文理関係なくその人の資質を重視しています。それが、女性が活躍できる環境づくりにつながっているのだと思います。 -
インタビュアー
服装もみなさん自由で、明るい雰囲気がありますね。
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坂田さん
私はアメリカのシリコンバレーの世界的なIT企業や大学を、中田は中国のユニコーン企業をいろいろ見てきたのですが、そこで仕事をしている人の姿が輝いて見えました。日本に帰って東京に着いた瞬間に愕然としたというか。向こうでは自分でこの仕事を選んでやっているんだという熱量をもち、仕事を楽しんでいる。惰性感がないと言いますか。それに、カジュアルな服装の方が肩の疲労感もだいぶ違います。
まず、私たち経営者からその姿勢を示していこうと。おしゃれをして自分を自由に表現することは、お客さまの前で不快にならない程度であれば生産性も上がり、いいコミュニケーションにつながると思うんです。
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インタビュアー
個性が新しいサービスや企業の価値を生み出すということなんですね。
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中田さん
まさにそうです。最近は社内でも個性豊かな人間が増えてきて面白い集団になってきました。
例えば絵を描いている人、DJをしている人、YouTubeにものすごく詳しい人、キャラクターデザインをしている人などがいて、これからも一芸を持っている人を採用したい。
今後、当社では、ITを活かした新規事業を進めていきたいと考えています。ですから、文系、理系も男女も関係なく、何かにとことん打ち込める人、本気で生きている人を採用したい。さまざまな個性の掛け合わせで、ITプラスアルファの付加価値で成長していきたいですね。
その他の取組み・企業情報は
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【富士化学工業株式会社】
世界と日本とのギャップを実感
「幹部は男性」というバイアスに気づく大切さ。
1946年に創業。
原薬・医薬事業やライフサイエンス事業に取組み、予防医療の充実を目指す。
世界で初めて、突出した抗酸化力を誇るアスタキサンチンの安定的な商用生産に成功。絶えずイノベーションを追求し、グローバルに事業を拡大中。
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インタビュアー
海外から帰国され、日本ではビジネスパートナーがほぼ男性であることに驚かれたそうですね。
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西田さん
私はオーストラリアの大学院で学んだり、アメリカの子会社に赴任後、日本に帰って社長に就任しました。日本でプロジェクトを進めるときにビジネスパートナーとなる副社長や部長級が、ほぼ男性という現実に大きな違和感を感じました。
アメリカやスウェーデンでのビジネスパートナーの比率は男女がほぼ半々で、女性の方が多い場合もあります。普通に経営していれば自然とそうなっていくんです。女性を取り巻く社会環境や男女平等についての海外と日本の違いを実感し、日本は遅れているなと。自分たちが能動的に動かないと、女性活躍は達成できないだろうというのは強く感じています。 -
インタビュアー
理工系女性の少なさも課題とか。
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西田さん
医薬や健康食品の開発など化学や工業の分野では理工系の人材が必要で、アメリカやスウェーデンでは理工系出身や大学院、博士課程修了の女性の人材が豊富で、女性比率が高いんです。一方、日本では理工系出身の女性の数が圧倒的に少ない。
当社ではロールモデルとなるような女性幹部を育てていきたいのですが、そもそも理工系の女性が少ないため、採用数もポストも少なくなってしまう。やはり、教育の現場でも性別で理系、文系に分けるようなバイアスを改善することが必要ではないでしょうか。 -
インタビュアー
御社では、女性活躍の観点から、女性の健康課題に着目され、女性社員の低用量ピル費用を補助する、先進的な取組みをされていますね。
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西田さん
今年の春から女性社員向けの低用量ピルの補助制度を導入しました。
月経による不調を軽減することで社員のパフォーマンスが向上したり、女性活躍推進への理解や気づきが深まることを期待しています。プライバシーは守られていて、社員からも好評です。これは、女性の健康課題の専門家と安全な服用について検討を重ねて実施しているもの。オンライン受診が可能で、1ヶ月あたり上限3,000円の補助がでます。
服用についてやアンコンシャス・バイアス、女性のライフサイクルと仕事などについて学ぶセミナーも開催しています。管理職にも参加を呼びかけたところ、予想外に男性の参加者が多く反響がありました。私自身も、さまざまなバイアスに気づきましたし、やはり男女ともに理解を深めていくことが大切。リマインドのため定期的に開催予定です。
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インタビュアー
御社の女性活躍の状況は?
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西田さん
以前から、女性の管理職を比較的多く登用してきた社風があり、アメリカの子会社では富山出身の女性がトップとして活躍していました。その方による英語の勉強会を定期的に開催しています。英語を使う海外物流の部門では女性社員の割合が7割ほどと高いんですよ。
当社では育児休暇や時短勤務など、男女問わず働きやすい制度や、大学院進学など平等な成長の機会を提供しています。今後も健康経営を目指しながら、やれることは全部やるというフットワークの軽さで女性活躍を推進したい。それによって魅力的な会社になり、いい人が集まってくる。そんなサイクルをつくりたいですね。
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【北陸建工グループ】
鉄鋼業界に根付く男性職場のイメージを払拭。
男性も女性も輝ける企業であり続ける。
1977年に設立。
グループ7社が連携し、デザイン性と高剛性に優れた特殊な形状のビルやトンネルなど、誰もが目にしたことのある建築やインフラの構造物を数多く手がけ社会に貢献する。グループ各社より集まった若手社員による採用チームが、
新しい力を吹き込んでいる。
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インタビュアー
鉄鋼会社は男性の職場だと思い込みがちです。
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酒井さん
実際は女性も現場など、さまざまな職種があり、能力と意欲のある社員を男女関係なくバックアップできる会社を目指しています。文系、理系も問いません。
例えば、サンフレッチェ広島の「エディオンピースウイング広島」というサッカースタジアムや大阪万博の大催事場など、大規模で長期にわたる設計から施工までの鉄鋼の現場管理の業務は、プロジェクト計画所属の女性が担当しています。全国各地の現場に常駐しながら富山の工場とやり取りをして、納品した製品を現地で確認しながら事業を計画通りに進めていく、とても重要な仕事です。
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堀江さん
鉄鋼業界は奥が深く、業界の専門用語がとても多い。それに、いくつものプロジェクトが並行して進められています。先輩たちの姿を見ると、男女関係なく学びつづける意欲が何より大切だと実感しています。
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インタビュアー
新入社員の加藤さんは、溶接も学んでいるそうですね。
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加藤さん
品質管理の担当で、製品の仕上がりをチェックしているのですが、溶接や穴あけ、ガスでの切断など、新人研修で学んだことをもっとやってみたいと上司に相談したら、実際の工場で教えてもらうことができました。現場をよく知ることで仕事の精度を上がると考えたんです。
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酒井さん
加藤さんは溶接がとてもうまく、指導したベテラン社員が喜んでいました。男女関係なくやってみたい思いは尊重されますし、ウェルカムです。
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インタビュアー
採用プロジェクトチームを発足されてから、男女問わず学生からの応募が増えているそうですね。
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酒井さん
私自身就職活動をしている時に、ちょっと年上のかしこまってスーツを着ている人がいる説明会のブースって入りづらかったんですよね。
「鉄鋼業界や採用担当者=男性主体」のイメージを払拭し、学生に近い目線で仲間を探しに行こうと若手中心で始めました。熱意のある男女9人がグループ企業各社から集まり、本来業務と兼務しています。メンバーもどんどん世代交代していく予定なんですよ。
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瀧本さん
各グループ企業から集まることで、学生さんには現場のことをしっかり伝えられ、自分と合う仕事かどうかリアルに感じてもらえる。採用側も学生さんと直に会えるいい機会です。
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酒井さん
採用のミスマッチを防ぐことができ、入社後も知っている人がフォローできて安心です。採用チームの仕事自体に学生さんが興味を持ち、取組みがすごいねという声もいただいています。
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インタビュアー
最近では社内の雰囲気も変わったとか。
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桜井さん
私が入社した7年前と比べて、若い人が増えて、今では20代の社員が年齢構成で一番多く、とても活気が出てきたことですね。
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酒井さん
グループスローガンとして、「チャレンジ&バックアップ」を掲げていて、それがうまく体現されています。合同説明会やインターンシップの企画などは若手に一任され、経営層が性別に関係なく個人の活躍のためにしっかりバックアップしてくれますから、恐れることなくさまざまなことにチャレンジできますね。
その他の取組み・企業情報は
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地域篇
【防災にひそむアンコン】
平時にできないことは、
災害時にはもっとできない!
高岡市・南砺市では男女共同参画推進員連絡会主催による、
地域防災・避難所運営の研修会を開催。
男女共同参画の視点から参加者の避難所運営にひそむ
アンコンへの気づきを紹介します。
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高岡市では9/14(土)NPO法人Nプロジェクトひと・みち・まち大坪理事長による「男女共同参画の視点から考える地域防災」研修会を開催
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南砺市では9/8(日)(一社)男女共同参画地域みらいねっと小山内代表理事による避難所運営訓練研修会(男女共同参画の視点による全体訓練・班別訓練)を開催
避難所運営にひそむアンコン
は何があるでしょうか?
「リーダーは男性」「炊き出しや介護は女性」といった、
性別役割分担意識に対してどう思いますか?
参加者からの意見
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役割は性別で決めるのではなく、得意分野で決める(炊き出しは男性も可能)
参加者
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地域の避難訓練を仕切っているのは男性。必要な支援や避難行動を考えるには女性が企画運営から加わるほうがよい。
参加者
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地域防災には男女同数の参加が不可欠。男女半々のリーダーが必要。
参加者
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平日の午後に家にいるのは女性や子供が多い。初動は女性が担っている。
参加者
参加者からの提案
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参加者
性別役割分担のアンコン
- 「子育ては女性」と思い込まず、男性でもミルクを飲ませたり、オムツ交換ができたりするよう、授乳室とミルク・オムツ交換室を分けて訓練した。
- ゴミの分別を考える際、「生ごみ」「空き缶」「ペットボトル」の3つの分別だけでなく、衛生上「紙おむつ」なども設け、なるべく細分化する。
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参加者
アンコンを防ぐための意見
- 男性目線、女性目線で互いに気づくことに意見を出し合うことができて良かった。
- 地域づくり協議会の自主防災会にはいろいろな世代の方が必要だと実感した。
- いろいろな団体で防災担当を決めておく。避難所では各団体の防災担当が集まる場を設ければ、多様な視点での運営ができる。
「IT=理系の男性」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?